「ディスプレイは空間を媒体としたコミュニケーション手段の一つです。情報伝達、販売促進、教育、啓発等を目的に、伝えたい内容を、空間を通じて直接伝達する手段です。送り手と受け手が互いに展示・装飾・演出された空間の中で出会い、直接的なインタラクティブ(双方向)コミュニケーションを前提にしていることが、他のメディアにはない特徴と言えます。ディスプレイ業とは、これら空間を企画し、設計デザインし、製作・施工し、総合的に構成演出する業務のことです」
© NOMURA CULTURE FOUNDATION
今日の「ディスプレイ」は、「展示装飾」という狭義のイメージではとらえきれない広いイメージを持つに至っています。
例えば、ショーケース、ショーウィンドウ、展示室、店舗などといった小規模なものや、展示会、博覧会、イベントなどの一時的なもの、建築、街並み、都市など私たちの生活空間全体を取り巻く環境まで、ディスプレイは、空間を媒体としたコミュニケーション手段の一つとなっています。
今後ますます、商業空間、生活空間、エンターテインメント空間、都市空間など多様な空間において「ディスプレイ」という概念が大きな役割を果たすことが期待されていると言えます。さらに、それらの空間では、サイン、ロゴ、色彩、グラフィック、形態、触覚、聴覚、映像、ビジュアルアートなど様々な要素をもつデザインが効果的な役割を担い、人々の関心を惹き、目的へ導きます。
乃村文化財団では、このような私たちを取り巻く多様な空間に対して、情報伝達、販売促進、教育、啓発等を目的に、機能や意味やメッセージを与えるデザイン行為を空間ディスプレイと位置付け、それに関わる方法・技術・研究等を『空間ディスプレイ分野』と考えています。空間ディスプレイによって生まれるコミュニケーションは、それを利用する人々に対して一方的にメッセージを伝えるだけではなく、空間を提供するものと利用者の間、あるいは、利用者どうしの間での相互の作用を引き起こし、インタラクティブ(双方向)コミュニケーションを成立させるものとなります。
『空間ディスプレイ』とは、空間を利用して創出される手法の一つであり、人々の豊かな生活環境実現のために生活空間に意味をあたえ、私たちの生活の質を向上させることを目指すものです。
© NOMURA CULTURE FOUNDATION